ロシアによるウクライナ侵略で、ロイター通信は1日までに、市街戦が続く東部ドネツク州ポクロウシクにウクライナ軍が最近、ヘリコプターを使って特殊部隊を投入したとする消息筋の話を伝えた。ロイターはまた、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長が現場で直接指揮を執っているとも報じた。複数のウクライナメディアも1日、同様の情報を確認した。
「なお困難で流動的」
現場のウクライナ軍部隊は1日、増援の到着により市内の一部で「戦術的状況が改善された」とSNSで報告。ただ、戦況は「なお困難かつ流動的だ」と指摘した。
一方、露国防省は1日、ポクロウシク付近でウクライナ国防省情報総局の特殊部隊のヘリの着陸を阻止し、乗っていた11人全員を死亡させたと発表した。露国防省のこの発表について、ウクライナメディアは1日、同情報総局筋が「虚偽だ」と否定したと伝えた。
ポクロウシクの戦況について、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は1日、「封鎖も包囲もされていない」と指摘した。これに先立ち、ゲラシモフ露軍参謀総長は先月下旬、「ポクロウシク方面でウクライナ軍の包囲を完了した」とプーチン露大統領に報告していた。重要な防衛戦、1年以上の攻防
ポクロウシクは交通の要衝で、ウクライナ軍にとってドネツク州の主要都市クラマトルスク方面への露軍の進出を防ぐ重要な防衛線の一角。過去1年以上にわたり、ポクロウシクの制圧を狙う露軍と、同市への露軍の接近を防ごうとするウクライナ軍の攻防が続いてきた。ただ最近、露軍が市内の一部を掌握し、ウクライナ軍は厳しい状況にあると伝えられている。(小野田雄一)